12月13日

昼まで寝つづける。

もっと寝ていたいぐらいだが、案外寝つづけることもできないものだ。

 

注文していたサロメの唇『熱海秘宝館のテーマ』が届いていた。てっきり熱海秘宝館の曲かと思ったら、サロメの唇という歌謡グループによるカヴァーだということを知る。

熱海秘宝館のテーマ

熱海秘宝館のテーマ

 

起きてカノジョ氏を誘ってHさんが参加している波の上で行われているマルシェに顔を出すことに。

小腹が空いたのでStamina本舗 Kayaで早めの夕ごはん。某de倶楽部イチオシのチキンカツレツバーガーを食す。ちとソースがこってりしていたかなぁ。それにしてもかなりのボリュームであるが、案外ペロリといけちゃうのだ。でぶ活。

 

五番街のスタバでコーヒーを。山本勇樹『クワイエット・コーナー 心を静める音楽集』、杉作J太郎植地毅東映スピード・アクション浪漫アルバム』に惹かれるも、今日はスルー。タイミングよく、『宇宙からのメッセージ』にもかなりページが割いてあるので、近々、手にとりたいと思う。 

クワイエット・コーナー 心を静める音楽集

クワイエット・コーナー 心を静める音楽集

 

 

東映スピード・アクション浪漫アルバム

東映スピード・アクション浪漫アルバム

 

 

12月12日

2度目の参加となるシアターシエマの覆面オールナイト上映イベント、シエマの桃源郷2015へ。

 

ヤフオクで落札したMiss Abrams & The Strawberry Point 4th Grade Class、マイルス・デイヴィスレニー・トリスターノが収録されたクール・ジャズの名盤『Cool & Quiet』が届く。どちらもジャケットも含めて素晴らしい。

 

夕方17時に佐世保駅を出るように、ゆったり目に準備をしていたら、連絡ミスでギリギリになり、慌てて車を飛ばし、家に下りて、まさかの駅までダッシュするはめに。どうにかタクシーを拾い事なきを得たが、あれで遅れてたら大変だった。

 

佐世保から佐賀へは鈍行列車でゆっくりと。ふだん電車移動をしないのでひさしぶりに乗ると新鮮である。佐賀に到着し、家に佐賀土産なんかを買ったり、西友でお菓子なんかを買ったりして、シエマでYさんと合流。

あとで合流する先生のために駐車場を探すが、あたりは飲み屋街に近い地域。忘年会の季節もあってか、けっこう満車状態。佐賀は駐車場が安いとはいえ、駐車場?…まぁ、邪推はやめておこう。

『d design travel』の佐賀特集号に掲載されていて、去年も行った旬菜台所 あ・うんへ。ここはおばさんが一人で切り盛りする、とても美味しいおふくろの味が味わえるとても居心地の良い空間だ。基本はおまかせになるのだが、突き出しで出てくるポテトサラダがとても美味しい。ヒラメの刺し身に、唐揚げ煮物どれも本当に美味しい。先生も無事に合流し4人で乾杯。おばさんは今年も我々が桃源郷に行くのを知っていて、夜中に小腹が空いた時に食べるように、おにぎりを持たせてくれた。こういう心遣いもまさに“おふくろ”の味である。いつかあ・うんを目的にじっくりと滞在したい。

 

開場時刻近いので、急いで向ったら今年からヴィンテージ会員が優先入場となったので、そうでない人間がすでに並んでいる状態でたじろぐも、開場となって急いで席を確保に向かう。中央のいいポジションを確保。先生は横にあるソファを確保。お客の数は去年より幾分少ないかなぐらいの印象であるが、深夜の劇場に映画好きな人々が集う光景はなんだか楽しくなってくるし、嬉しくなる。

 

22時に1本目がスタート。実写とパペットを組み合わせたチェコの愛らしい作品『クーキー』。ぜん息で体の弱い男の子がいつも一緒に寝てくれる大切な宝物のような存在がクーキーというクマの形をしたぬいぐるみ。ぜん息にはほこりがよくないというので掃除をする母親の手によって捨てられてしまう。ゴミの埋立地にやって来てしまったクーキーの間近に迫る巨大なキャタピラー。絶体絶命を思われたその時に、自分で石を持って動き出すクーキー。命からがら森へと逃げこみ、そこで村長と出会う。そこで起こる様々な出来事…。まるで絵本のようなストーリーで、日本でももっと話題になっていてもいいのになぁ、と思ういい映画だった。マペットとCGの組み合わせ、村長をはじめ森の妖精たちのちょっと気味の悪いけど、かわいらしさもあるデザインもティム・バートン的な、あるいは先日見たミナ・ペルホネンの描く絵にもどこか似た味わいも印象的。

自分もぜん息持ちで、子供の頃によく抱いていたうさぎのぬいぐるみを思い出した。まだ捨ててない筈なので、どこか物置にひっそりと眠っているんじゃないだろうか。

あと主人公の少年が吸引しているぜん息の薬がまったく同じだったので、おっ、と思わず反応したが、直後に少年はうがいをせず布団に潜り込んでしまったので、ぜん息持ちとしてはそこはおかしいだろ!と少しツッコミを入れたくなった。

 

2本目は『(秘)湯の町 夜のひとで』。冒頭の時代劇のようなシーンに呆気にとられ、しかも侍に切られた女性の着物ははだけ、なんと丸裸に。戦前にこんな時代劇があったのかと驚愕しつつ、俳優やスタッフの名前が出ても知らない名前ばかりだったが、タイトルに続いて映し出されたのがバスのシーンで、「あ、これは戦前の映画でもなんでもなく、60年代、70年代ぐらいの作品なんだな」と受け止めることができた。

久生と雀という内縁関係の夫婦と、関西弁をあやつるペテン師のような男、その名もトリ金。ブルーフィルムと呼ばれる今で言うエロ映画やエロ写真を生業にしている、まさに先日亡くなった野坂昭如の作品でもある“エロ事師たち”である。劇場で作品として上映されるピンク映画のようなものでなく、温泉旅館の客などを相手に隠れて上映したりしていたのだろうか。いろいろ語られていないこういう裏の側面というものがどうだったのか興味深い。切なくてやるせないような悲劇的な末路を遂げてしまう終り方もまたなんとも言えない余韻が残った。鈴木則文監督の『温泉みみず芸者』や『温泉スッポン芸者』といった楽しい東映のピンク映画などは観ているが、おそらくテイストが似通ってるであろう、日活ロマンポルノはまだほとんど観ていないので、こういう作品がまだまだ眠っているかと思うと、日本の当時の映画文化というのは改めてすごいなと思ってしまう。上映後に配られるリーフレットには脚本がペンネームであるものの、若松プロダクションの大和屋竺だということに、なるほどと思わせるものがあった。

 

3本目は打って変わって、フランス映画の『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』。どこか打算的であったり、抜けているところがあったりする主人公たちに起こる様々な出来事をモノローグで語っていくという表現を織り交ぜながら描いていく。青春というには幾分、歳をとっている彼らの物語は、映画のキャッチコピーを借りるならば、“ぱっとしない”大人たちの恋の季節と呼ぶに相応しい作品。しかしながら薄毛の同世代の主人公アルマンは最初、どこか抜けた感じでついつい笑いを誘っていたのだが、後半にしたがってとても男らしく、いい表情をしていることに気づかされるはずだ。フランス映画のラブ・ストーリーというと、とてもオシャレなイメージをそのまま連想することは容易いが、この『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』の登場人物は等身大に感じられたところも印象的なところだ。深夜1時から3時近くのフランス映画はかなり眠気を誘うので睡魔との格闘でもあった。

 

本日4本目、クライマックスはフィルム上映作品である。さて何が飛び出るのか、わくわくしていたら、岩礁に波がザップーンといくあの三角ロゴの東映印が出てきたとき、心のなかでガッツポーズであった!いきなりスペイシーな映像に切り替わり、ひょっとして…と思ったが、やっぱりな『宇宙からのメッセージ』である!新作の公開を間近に控えた『スター・ウォーズ』に引っ掛けたチョイスなのは言うまでもない。ちなみにタイトルは知っていたが、本作は完全な初見。『スター・ウォーズ』がアメリカで大ヒットしているのを受けて、日本公開の前に乗っかったのが、本作『宇宙からのメッセージ』や東宝の『惑星大戦争』である。そういう意味でも今週末に公開される『スター・ウォーズ /フォースの覚醒』を意識した、このチョイスは活きてくる。

真田広之志穂美悦子千葉真一JACの面々に、成田三樹夫天本英世丹波哲郎といったスクリーン映えする名優の数々にハリウッド俳優のビック・モローといったワールドワイドな作品を意識したキャスト。8人の勇者が活躍するという『南総里見八犬伝』を下敷きにしつつ、東映太秦映画村の協力もあり、衣装こそ違えど、時代劇の要素もあり、戦隊モノや特撮もお家芸である東映のスペイシーな美術に戦闘機のスピード感抜群のアクションもあり、わざとらしく何度も出てくるリアべの実をめぐる笑いがこみ上げてくるシーンもところどころにありと、和製スペース・オペラ東映のエッセンスがぎっしり詰まった、ごった煮のようなB級ではあるけれど、どこか愛おしくてたまらないそんな作品だ。大作娯楽作品ってこうだよなって童心に帰ったような気持ちにさせてくれる。フィルムの状態により、少し赤みがかっていたのもセピア色の思い出を観ているようであった。生まれる前の作品ではあるのだけれど。

 

1日で4本というと、なかなか大変ではあるが、終わってみればあっという間だったし、シエマの桃源郷という、同じ作品を一夜を通して恋人や友人、知らない人たちとも共有しているのがなんとも嬉しい気分になってくるのだ。こういうおもしろいこともっと他の劇場もやればいいのにとも思うけど、シエマがこうやってくれているのだから、支えれるよう、これからも行こうと思う。

 

帰りは先生の好意で車に乗せてもらい、1時間ちょっとで帰路に着いた。来年は自分が運転しようと思った次第である。

 

秘湯の町 夜のひとで [DVD]

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宇宙からのメッセージ [DVD]

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12月11日

書き溜めていたブログをどうにか追いつく作業に専念。一月近くサボっていたツケはなかなか大変。日記ってそういうものじゃないのだが…。

 

婆ちゃんが熱を出したというので、心配になり夕方顔を出す。熱も下がっているようで一先ず安堵。

 

明日はシエマの桃源郷2015ということで、去年はなんだったかなと思い出すとその時点でシエマには来ていなかった沖田修一監督の『滝を見にいく』、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の『マリア・ブラウンの結婚』、池田暁監督の『山守クリップ工場の辺り』、最後に敬愛してやまない鈴木則文監督の『聖獣学園』という濃いラインナップであったが、今年はカルト色は控えめだそうではあるが、一体なにが飛び出すのか楽しみである。

12月10日

野坂昭如さん逝く。

近年ではジブリ作品『火垂るの墓』の原作の顔、焼跡闇市派を自称した作家としての顔、大島渚と殴り合いをした顔など様々な顔があった方であったが、個人的にはP-Vineからリイシューされた歌手としての活動の顔。しかも歌そのものよりも、クレイジーケンバンドのライブにゲスト出演した模様が収録された『青山246深夜族の夜』での若い客の前で老人をこき下ろすパンキッシュなMCだろうか。安田謙一のライナーノーツによると、老人の多い講演会では真逆のことを語っていたというからなんとも痛快である。合掌。

CKBライヴ 青山246深夜族の夜 ? Special Guest 野坂昭如

CKBライヴ 青山246深夜族の夜 ? Special Guest 野坂昭如

 

 


野坂昭如&大島渚流「緊張と緩和」

 

溜まりに溜まっていたブログの更新に注力する。

夜はジムで汗を流す。

12月9日

およそ40冊達成。

 

仕事終わりに映画を観に行く予定だったが、黒沢清の新作『岸辺の旅』はすでに終了。『007 スペクター』は前作『007 スカイフォール』の続編的色合いが濃いため、前作を観ていないので楽しめないということで見送る。となると、観たい作品がないという問題になり、はたと気づいたのが、佐賀のシアターシエマでやっている『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』だ。20時開始ということもあり、17時半に出れば間に合うだろうという算段であったが、ナビに打ち込んだ時点でほぼ20時ちょうど。夕方の道路状況も鑑みて一か八かで行ってみてダメそうだったら、諦めて手前の井手ちゃんぽんか想夫恋で食事して帰るぐらいの意義を見出して出発。

案の定、帰宅ラッシュで道路は混みあい、途中からは一車線になり、徐々に縮まってはいものの、まだまだ安心できる予定時刻には達しない。おまけに想夫恋も井手ちゃんぽんもお休み。佐賀まで行ってなにもせず帰宅となったら、なんともいえない空気になってしまう。冷や冷やしながら、バイパスを通り過ぎ、さあ二車線でどれだけ縮めることが出来るかという段で、ナビは思わぬ方向へと案内する。ビートルのナビでは案内しない道のりだが、さてどうするか?と一瞬、悩んだが、前の車が数台行っているのと、ナビの時刻がいくらかは縮まっていたこともあり、ナビに賭けてみることにした。

道路はやたらと広く、まだまだ工事中であることを伺えるが、突き進んで行くと大きな橋へと繋がり、いずれは完成して有料バイパスになるような道になっていた。信号もなく、スムーズにながれ、気がついたら20分前には到着していた。いつも停める長時間安い駐車場はいっぱいだったので、手前の駐車場に停めたが、日中は安いという不思議な料金設定。今度入れるときは注意したいところ。

無事にシエマに入り、空腹なこともあって、売店でビスコッティとコーヒーを注文して、スクリーンに滑りこむ。

 

 

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』

敬愛する都築響一さんがトークイベントで話していたヴィヴィアン・マイヤーという身寄りも無く、恵まれた仕事ではない乳母で生計を立て、天涯孤独なまま世を去った女性が、生前に発表することも現像することもなく、ただひたすらに撮りためていたフィルムの一部を、この映画の監督のひとりであるジョン・マルーフが落札した手にしたことがきっかけで世にでることになった。二眼レフカメラという特殊なカメラで切り取られたストリート・スナップとでも呼べるその写真の数々は、たとえ芸術写真の門外漢であっても、惹きつけられるつよい力を持っている。

撮りためてフィルムだけでなく、テープレコーダー、映像フィルム、雑貨類、新聞の切り抜きや手紙、果てはレシートに至るまで物を捨てることが出来なかったことを伺わせる遺品の数々から、まるでミステリー小説のように本人を辿ることになる。乳母として育てられたかつての子供たちや、雇い主、友人として少しの間交流があった者、偏屈な客として覚えていた雑貨店の店主などから、浮かび上がってくる人物像は、住み込んでいる部屋に新聞をうず高く積む変人であり、テープレコーダーで新聞記者のように政治や時事問題について市井の人々に聞いてまわったり、近くで起きた殺人事件の被害者の葬式の様子を外から撮影したり、ジャーナリズムのようなことにも興味があったのかもしれない。また、大切にしていたおもちゃをアンモニアづけにしたり、子供たちにとっては、ある種のトラウマを抱かせた存在であったというエピソードも。

この作品を観ても、その写真のセンスはどうして磨かれていったのかは分からないが、人的交流をしない彼女が、一歩遠い視点から眺める洞察力が、カメラという媒体で花開いたのかもしれない。

本人は少なからず発表する意思があったことや、そのセンスに自信をもっていたことを伺える文面も残っている。本人の意図する形での発表でないこと、その本人が監督をつとめた作品であるので、また違った視点もあるのかもしれないが、その写真の数々、ミステリアスな人物、そしてヘンリー・ダーガーのように、ひょっとしたら発表されることもなく消えてなくなっていった才能というものを思い、とても興味深く鑑賞できた。コーヒーをぶちまけながら。カノジョ氏にはクリーニング代を出さなくては…。

 

ちょうど、Yさんのシエマの桃源郷2015参戦表明がはいったので、予約人数を増やすことに。今年は苦戦しているらしく、大変よろこばれた。なんでもカルト作品は控えめで誰にでもおすすめできるようなオシャレな作品?をかけるとのことで、カルト映画大好き人間としては少し残念だが、カルト映画くくりの上映会もしてもらいたいところ。

12月8日

久しぶりにジムへ。気がつけば12月にはいってはじめて。ついついサボりグセがついていかんなぁ。

 

カノジョ氏にこんどキレたら坊主という誓約をさせられる…トホホ。

 

ハッピーセットスヌーピーを求めて、早岐方面をいくつかあたるも外れ、もしくは持っているやつだけであった。スヌーピーの人気を少し甘くみていた。ギミックもさることながら、造型もかわいかったので、なんとかコンプリートしたかったので残念のひとことに尽きる。

 

母から百貨店の悪いうわさを聞かされる。うわさ話が好きな市民性ではあるが…はてさて。