11月15日

ミスタープロレス”の異名を持ち、最近は長州力とともに滑舌が悪いことが逆にタレント性が出てきている名プロレスラー、天龍源一郎の引退興行が両国国技館で行われた。契約している新日本プロレスワールドで生中継があるので、両国の熱気をそのままに自宅観戦。

プロレス界の2大スター馬場と猪木からピンフォールを奪った唯一の日本人レスラーとしての顔や、ジャンボ鶴田とのライバルストーリーや、SWS、WARと団体の長である姿や、ハッスルでの新しい側面を見せたりなど、様々な顔を持ったプロレスラーであったが、個人的にはプロレスを見始めた頃のWARと越中詩郎率いる平成維震軍との対抗戦での強さの印象が記憶に残っている。

ここ数年、腰の病気に悩まされ、見る見るうちに動けなくなった天龍と業界最大手の新日本プロレスのチャンピオンという現役バリバリのオカダカズチカ。果たしてどうやって試合が成立するのか。その一点が注目であったが、逆水平チョップとグーパンチで立ち向かっていく天龍、一方でオカダカズチカもエルボースマッシュで応戦。次第に若さと手数で上回るオカダのペースに防戦一方になる天龍。うまく技を避け、オカダの自爆を誘い、ここでもチョップとパンチ、顔面蹴りで反撃に転じる。必殺技であるパワーボムはコーナーにもたれかかりながら、それもスッポ抜けるように落としてしまったり、とても打点の低い延髄蹴りなどを放つ。これほど不格好で思うように動けない身体から放つ技の数々なのに、見ていてこれほど胸を打つ試合もなかなか無い。介錯人としてオカダは情け容赦ない鋭いドロップキックの連打に、最後は必殺技のレインメーカーで天龍のレスラー人生に終止符を打った。先輩を先輩とも思わない不敵なキャラクターであるオカダカズチカが横たわる天龍に深々とお辞儀をしたシーンには思わず胸を打った。こんな形の素晴らしい試合があるというのもまたプロレスの面白さであり、醍醐味なのだと改めて再認識させられた。 そして、試合後のオカダカズチカの顔には、はっきりと天龍源一郎のシューズの痕跡が残っていた。

 

サービス券の期限が近かったので消費するという名目の名の下に、ほんだらけでお買い物。大友克洋『武器よさらば』、大塚英志『『りぼん』の付録と乙女ちっくの時代』、そして、天龍源一郎『七勝八敗で生きよ』購入。