10月4日(晴)

チェックアウトの30分前に朝風呂に浸かる。チェックイン時に精算機ですでに精算済みなので気持ちはそこまで焦らなくてもいい。レシートに書かれた番号が部屋のキーになるというのははじめてだったかも。運営会社によるとビジネスホテルではなく、スーパーホテルと定義付けしているのだとか。ビジネスホテルとさほど違いは分からないが合理的ではある。なによりリーズナブルだった。

 

熊本中心街の駐車場は少なく、あっても立体駐車場であったり、高さ制限にかかってしまう我がエクストレイルでは半ば駐車場難民と化してしまう。土産を買うから割引があるだろうということで、熊本のデパートである鶴屋の駐車場へと向かうが、その渋滞のなかなかすごいこと。ようやく入るも古めの駐車場で狭い通路にやや苦戦する。

 

昼に近いのに朝食すら食べていないので朝昼兼用で岡田珈琲でホットサンドセットを食べる。カフェではなく、これぞ喫茶店という佇まいが居心地がいい。会計間際に、壁に貼ってあったDenkikanで公開される『ナイトクローラー』のチラシを見ていたら、コーヒーを淹れている若い店員さんから声掛けされて驚く。気楽に会話をする印象がなかったから余計に。珈琲 しもやまの話をすると僕もあそこで働きたいですもんと言うほど、熊本のコーヒー文化では有名なお店だったと知って面白いなと思った。おすすめを訊いたらこれまた140年を越す長崎次郎書店を教えてもらった。そう言えば、以前からその名を聞いてはいたが、行ったことはなかった書店だ。今日はノープランだったので早速候補に組み込む。その土地で住んでいる人のおすすめを訊くのはその人のセンスが出るので面白い。いざ自分がどこをおすすめするか相手によってTPOが出てしまうところはあるが…。

 

路地に入ったところにあるカフェOrangeの主人が隣に空きが出たのではじめた橙書店に立ち寄る。ここは以前行ったことがあったが、最近の『CREA』の本特集では、なんと村上春樹がお忍びで読書会を開催したお店だ。取次任せではなく、直接選書しているのでそのお店のカラーがとても良く出ている素敵なお店だ。ちょっと時間がなくなってしまったので購入は見送ることに。

 

鶴屋の地下で土産物を物色。誉の陣太鼓松風とあまりひねりのない土産物になってしまった。もう少し情報を仕入れておくべきだった。駐車料金はもっと行くかなと思ったが、会計を合算するとそこまでかからなかった。なるほどこれだけ利用されるわけだと思ったし、それだけ鶴屋で買い物されているわけでもあるのだ。

 

車で長崎次郎書店へ。なんだか見覚えのある通りだなと思ったら、去年シワプリと泊まったゲストハウス中島屋の近くではないか。こんな近くだったとは全く気づかなかったなぁ。 長崎次郎書店は趣きのある外観と打って変わって、中は真新しさの残る風通しの良い町の本屋さん。熊本に縁のある作家のコーナーや、ギャラリーコーナー、月光荘の文具などもありつつ、必ずしもセレクトショップ然としているわけでなく、週刊誌やビジネス書、攻略本などもある。早川義夫がかつて開いていた早川書店のブックカバーが特典につくので早川義夫の書き下ろしの新刊『心が見えてくるまで』と、熊本に来たのでせっかくだから買いそびれていた『CREA 本とおでかけ。』を購入。

心が見えてくるまで (ちくま文庫)

心が見えてくるまで (ちくま文庫)

 

 

CREA 2015年9月号 本とおでかけ。

CREA 2015年9月号 本とおでかけ。

 

近くにあるカフェも気になったので覗いてみると、カフェではなく本格的なフレンチのメニューがならぶClasiqueというお店。残念ながら、まだお腹が空かなかったので見送ることに。

 

『d design travel』に少しだけ載っていた熊本国際民藝館へと向かうことに。中心地から熊本大学を過ぎた三宮神社の敷地内にあった。館長であった外村吉之介の審美眼にかなった民芸品の数々が古今東西、洋邦問わず多種多様な品々が楽しめる。著名な作家ではなく無名の市井の人々が使用していたというところに重きをおいているように感じられた。なかでも郷土玩具はやはり面白い。見ていて飽きないのだ。ゲームやプラモなどで育った人間が言うのも説得力がないが、郷土玩具という文化が廃れてしまったのが残念でならない。自分も佐世保独楽で遊んだ記憶ないもんなぁ。。帰宅後に何気なく坂口恭平さんのツイートを見ていると、なんとこんな事実に出くわす。

 期せずして、今回の旅は坂口恭平の周縁を辿ったような気がして、少し読んでみようと思ったりもした。あとこのブログを書くにあたって調べた外村吉之介の甥っ子が父の好きな塚本邦雄だというのにも驚いた。

 

ぼちぼち帰路へと向かうため高速に乗る。北熊本サービスエリアで、全国ご当地パンで2位に輝いたこともあるネギパン、山吹色のジャージーソフトをおやつに。パッケージのイラストのネギーはどうみてもやなせたかしタッチなのだが、クレジットがない。無償でやった一例ではと勘ぐりたくなってしまう。

togetter.com

それはさておき、ネギパンは思いのほか美味しかった。中に入っているマヨネーズととんかつソースが混じった和風オーロラソースとでもいえそうなソースとかつお節とネギの相性が良い。山吹色のジャージーソフトこれが牛乳の味わいたっぷり、そして何よりも甘さ控えめでとても美味しかった。 これはオススメだなぁ。

 

まだ少し時間の余裕もあったし、まっすぐ帰るのも少しつまらなく感じたので、去年、シワプリと行ったが空いてなかった久留米のPERSICAへリベンジすることに。

着いた時点ですでに一階の飲食のスペースは閉まっていたが、店主の方が開けてくれて、二階の久留米絣を用いたスニーカーへ。久留米絣といえば、愛用しているSHOES LIKE POTTERYばかりと思いきや、PERSICAで扱っているスニーカーはまた違うラインのものばかり。店内もビルをセンスよくリノベーションして雰囲気もすごく良い。店主の方はそんなことはないと謙遜されるが。いやはやロードサイドな久留米でこういう店があるとは驚くな。何よりとても気さくで感じの良い人だった。ワインボトルのような瓶入りのコーヒーCAFEVINOを購入。今度は飲食スペースも利用してみたい。

 

久留米から佐賀方面へ向かうが、まだお腹も空かないので、佐賀市内を通過して武雄市へ。以前情報を得た日田焼きそばの想夫恋の支店が武雄にもあるというので。以前から通過ばかりしていたが、まさかここが日田焼きそばのお店だとは気づかなかった。メニューは基本的に日田焼きそばでサイドメニューは餃子ぐらい。この餃子もミニ餃子で美味しい。焼きそばも日田焼きそば印な、程よいパリパリ感が味わえてとても美味しい。熊本の旅の締めくくりが日田焼きそばというのもなんだかおかしいが、それはそれで良い。