10月12日(晴)

月曜だが、今日は体育の日なのでお休み。せっかくだから映画を観にがてら佐賀へおでかけ。

 

夕方の上映までまだ時間があったので、寄り道してRITMUSという器と洋服と音楽をメインに扱ったお店へ。FacebookInstagramメインサイトというのが今っぽい。場所は佐賀市内からは少し離れており、佐賀大和のインターチェンジを少し過ぎたところにある温泉地の近くである。ちなみに佐賀大和温泉 ホテル アマンディなる宿があったが、このスライダープールには見覚えがある。子供の頃によく家族で行っていたからだ。当時はそんなハイカラな名称ではなく、さが健康らんどといった名前だったような気がする。買収されたかなんかだろうが、幼い頃に利用していた施設がこうやってなんとか残っているのは少しだけ嬉しくも思った。

閑話休題

そんな長閑な場所にあるRITMUSの店内に流れている時間もとても穏やかな空気に満ち溢れている。現在展開しているのは、店主が出会った日本全国のお菓子や調味料が並ぶ。なにも都会に住む人間だけが文化的な営みを過ごすことができるのではなく、地方でもこういった面白いお店が増えていっているのは、かすかな希望ではないのか。そんなことを思った。

エプロンズのチャイともりかげ商店の柑橘カカオニブを購入して、店を出る。小上がりもあるし、なにを改装したのだろうと思ってふと外観を見ると、うっすらと書かれたたばこ屋の看板の文字。いやはや、元たばこ屋が、こんな素敵なお店になるんだなと感心した。

 

佐賀市内へ入り、いつもの駐車場へ停める。まだ少し時間はあるので、あたりを散策。トイレを借りた佐嘉神社ではお祭りがやっていて、露天などもいるがひと気は疎らである。ステージでは、おじさんのミュージシャンがAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を弾き語りで歌っていて、その場を離れて行くにしたがって、声が小さくなっていくのが、佐賀の閑散とした街並みの心象風景と相まって、胸がかきむしられる思いが少しだけした。少しだけ。

 

「d design travel 佐賀編」に載っていたパハプスギャラリーは福岡での展示のために今はお休みであった。 

 

まだ上映時間まで少し余裕があったので、早めの晩ごはんを食べることにするが、タイマーカリフォルニアキッチンはまだやっていなかったし、TERRY'Sは休みのようであったし、ということで少し途方に暮れたところで、たまたま通りがかり、外観が気になっていたCOROYAへ入ってみることに。メニューが日替わりとカレーとうどんのみというシンプルさも惹かれたポイントである。店内の壁はタイル張りで絵も飾ってあったり、なんだか位の高い人が座ってそうな椅子があったり、奥に彫刻が置かれていたりとなかなか面白く、外からだと磨りガラスなので分からなかったが、おじさんがひとりで切り盛りしており、なんだか『深夜食堂』を思わせる雰囲気が漂っていたのもまた良い。本日はポークソテー定食。これがなかなか上品で美味しい。TERRY'Sといい、佐賀のおじさんが作る定食は美味しいという法則が出来上がりそうである。

 

 本日鑑賞作品はザ・ビーチ・ボーイズのリーダーであるブライアン・ウィルソンの半生を描いた『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』。ロック史に残る名盤『ペット・サウンズ』を作り上げた60年代のブライアンと、精神科医ランディに管理され、人間らしさを失っていた80年代のブライアンをそれぞれジョン・キューザックポール・ダノが演じ分ける。特に60年代のブライアンを演じたポール・ダノのクリソツぶりに驚かされ、さながら当時のレコーディング風景のドキュメンタリーを観ているようで、『ペット・サウンズ』はこうして作られていったのだなと思わせる。一方、80年代のジョン・キューザックは敢えて似せていないのかなとも思った。80年代はタイトルが生きてくる再生のドラマである。最後のエンドロールの「素敵じゃないか」につづいて流れる映像に落涙。改めてザ・ビーチ・ボーイズを聴き返したくなったとても良い作品だった。

 

帰り道、ふとしたことがきっかけでカノジョ氏の誕生日が出てこず、呆れられる失態。トホホ…。