11月8日(曇りのち雨)

雨のせいか生温かく、11月とは思えない気候。

出かけることもせず、溜まりに溜まったブログの執筆に追われる。

 

必要に迫られ、一峰大二(画)、中里介山(原作)『大菩薩峠』、SFこども図書館シリーズエドガー・ライス・バローズ(原作)、亀山龍樹(訳)、絵沢田重隆(絵)『火星の王女』、マレイ・ラインスター(原作)、野田昌宏(訳)、柳原良平(絵)『黒い宇宙船』と立て続けに読了。

大菩薩峠 (マンガショップシリーズ 148)

大菩薩峠 (マンガショップシリーズ 148)

 

大菩薩峠』は映画化もされている中里介山原作の長編小説のコミカライズ化作品。コミカライズという言葉も日本で当然ない時代の作品であり、やや時代がかったタッチや表現ではあるものの、繊細な線と確かな画力で読ませる。映画化も含めて『大菩薩峠』は未見だったのだが、物語のあらましを知ることができ、冷徹で悪役ですらある主人公・机龍之介のキャラクターもずいぶん早いことに驚かされる。

火星の王女 (SFこども図書館)

火星の王女 (SFこども図書館)

 

 エドガー・ライス・バローズ『火星の王女』。アメリカの元南軍の士官である主人公・ジョン・カーターの身に、幽体離脱にも似た体験が起こり、火星へとワープし、火星人や火星生物とのバトルあり、王女とのロマンスありといわゆる“スペース・オペラ”と呼ばれるジャンルに属されるのだろうが、読んでいて、これはまるで子供の頃に夢中になって遊んだ『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』のようなRPGに似ている物語だなと思った。もちろん1911年に書かれた原作が当然ルーツであるのだが。現在は『火星のプリンセス』と改題されて、読むことができる。主人公の名前である『ジョン・カーター』というタイトルでディズニーにより映画化されているので、これも観てみたいな。 

黒い宇宙船 (昭和42年) (SF世界の名作〈9〉)

黒い宇宙船 (昭和42年) (SF世界の名作〈9〉)

 

『黒い宇宙船』はもっとSF寄りの作品であり、冒険ものであるのが共通していえることだろう。トリスなどで有名な柳原良平による珍しいSF感のあるタッチを楽しむことができる。現在も同じ出版社である岩崎書店で同じ野田昌宏・訳で読むことができるが、ずいぶんアニメなタッチになってしまい、柳原良平との落差に驚かされる。

黒い宇宙船 [冒険ファンタジー名作選(第1期)]

黒い宇宙船 [冒険ファンタジー名作選(第1期)]

 

小学生高学年ぐらいをターゲットにしていると思われるSFこども図書館だが、こういうSF作品を児童文学として紹介していたのはとても面白い試みだったのだなと思うが、いまはこういうシリーズがないように思うが、映画やアニメであり、ゲームがそれに置き換わっているのだと思えば、むしろSFというものが色んな形で身近になっているとも言えるのかもしれない。