11月21日

福岡パルコ新館一周年記念として、写真展「こんにちは、うれしの~写真家 川島小鳥と巡る嬉野の旅~」の一環で、都築響一さんのトークイベントがあるので、ふたたび福岡へ。

 

まずは腹ごしらえで、カレー屋が豊富な福岡界隈の行ったことないカレー屋へ。Curry NADOのNEWおっぱいカレーという素敵なセンスのカレーにむしゃぶりつく。カレーと梅干しの組み合わせはかなり意外ではあったけれども、スパイシーと相性が良くてとても美味しかった。

 

夜はpetrol blueというバーを間借りして、昼に喫茶店として営業している珈琲花坂へ。ガトーショコラってもったりとしていて、嫌いではないけれど、あまり進んで食べたい感じではないのだが、この珈琲花坂さんが作ったガトーショコラはまさにショコラのような独特な食感で完全に好み。むしろ世にあるガトーショコラはこの食感を目指すべきとさえ思った。コーヒーもとても美味しい。音楽好きということもあって、レコードで心地良い音楽が流れるがモッキーの『KEY CHANGE』が流れて、「オーッ!」となった。どこか喫茶ジジ〜眼鏡珈琲店を思い出させる素敵な店だった。また行こう。

 

プラザに顔を出すと、仕事中のYさんと後輩さんに会い、挨拶を交わす。あとで行けれたら行くとのこと。

 

早めにパルコ新館に移動して、川島小鳥が撮った嬉野の写真を見たり、無料で置いてあった今回の写真を冊子にした写真集を入手したり。眺めの良さそうなレストランを一度クローズさせてから設営をするから、なかなか大掛かりだなと思った。

 

開場になり、もちろん最前列に陣取る。今回の開場はかなりゴージャス感漂う場所である。まずは今回のイベントの主催者のひとりである、H.P.FRANCEの方から挨拶。なぜ嬉野なのかというと、作家と波佐見焼のコラボレーションをよく行っているそうだが、波佐見には宿がないので、よく嬉野に宿を取っているのだという。近年、よく注目を浴びる波佐見焼だが、そんな新しい試みをどんどんやっていることに驚く。そして福岡からの観光客が多いということもあって、PARCOへ働きかけたという。

そして、都築さんのトーク。

この3日間、福岡で宿が取れなかったという話から。しかもその原因がヤフオクドームでのEXILEのコンサートというからずっこける。開場BGMとして流れていた歌謡曲は最近実刑判決をくらったという桂銀淑。「Sweet Memorys」カヴァーが良いとのこと。嬉野がテーマということで、惜しまれつつ昨年閉館した嬉野観光秘宝館の話。でも無くなる時点で惜しむぐらいなら、あっているときに行くべきだし、自分たちで新しい秘宝館(的なるもの)をつくるぐらいの気持ちを見せろというのも至極当然である。

福岡にあるグラフィティの話へ。いわゆる文字ではなく都築さんが紹介する福岡のグラフィティは江口寿史のタッチを彷彿とさせるような女の子のイラスト。ハイセンスなパリのグラフィティ話。シャルリー・エブド襲撃事件の少し後には亡くなった漫画家へ捧げるグラフィティなどもあったというので、今回のテロの事件に捧げるグラフィティも並ぶのではないかとも。ただの落書きではなくアートへそしてメッセージへと昇華するグラフィティもっと興味を持つべきだろうな。

シャッター商店街の保証金やら保証人やらを通さず安く貸す。グラフィティをOKにする。風営法を通さないこれだけでまちおこしって簡単だと思うという都築さんの大胆なまちおこし案も飛び出し、飯塚の土建屋のおやじが一人で開催しているという、かかしによる野球大会の笑撃の取材報告。

CREA』にも掲載された、村上春樹、スタイリストの吉本由美との東京するめクラブのリユニオンとして行った熊本の広大なトピアリー。あの村上春樹が絶句していたというから、一度見に行ってみたいもの。

 福岡より断然おもしろいという大牟田の紹介。飲み屋街である通りの名前が年金通り。その一度聞いたら忘れられないインパクト大なネーミング。一時期、それはいかがなものかということで人情通りなんておもしろくもなんともない名前にしたが、最近また元に戻したというから極めて真っ当である。大牟田には地元のヒップホップシーンもあるという。住んでいる街の状況が悪いからこそ表現する。ある意味、まだまだ危機意識の薄い佐世保大牟田を見習うべきではとさえ思う。なかでも強烈だったのが、一旦閉鎖されたグランドキャバレーをライブハウスとして甦らせた空間。音もノイズを効かせた爆音でもシャッター街だから誰も苦情を言わない。しかも客層が子連れの主婦や、女子高生が制服のまま暴れているというから凄まじい。きっとここには根源的ななにかがあるような気がする。

つづいて小倉の成人式。都築ファンにはすでにお馴染みだが、やはり何度みてもすごい。『マッドマックス』的な世界とはまさに言い得て妙である。強烈な新成人たちはそこら辺に居て身の危険を感じそうだが、よそから来た撮影している人も沢山いるらしく、気軽に撮影に応じてくれるとのこと。

その流れから暴走族のアクセルコールの話に移ろうとしたところで、機材トラブルが発生。なんとか復活し、無事に水戸黄門のアクセルコールが聞けて大団円といったところか。天神にあるPARCOのレストランという都会的な空間で、都会やおしゃれを目指すよりも、もっと身の回りの田舎に目を向けよという都築さんのメッセージはまさに強烈であった。地方在住だからこそある意味、身近であるのだから。

 

終演後にはさやかさんやYさんと後輩の方、嬉野秘宝館のお葬式を主催したフジトミタクミさん、H.P.FRANCEの方、PARCOの方々と一緒に大名の焼きとん屋で打ち上げ。都築さんのファンだという方からグラフィティを撮って、お手製のZINEにしている方から作品をもらったり、楽しいひとときであった。